2013年04月10日

安達二十三1890-1947 57歳

「人間臨終図巻(2)」(65)

山田風太郎 1922-2001
fuutaro yamada

2001.03.15 初版(徳間文庫)

<安達二十三1890-1947 57歳>
昭和20年9月13日、オーストラリア軍に対し、降伏調印。
「軍は大命に基づき豪州第6師団に降伏せんとす」と命令
した。日本軍がこれほどいさぎよい言葉をはいたのは
例がない。

彼は自決のための短刀も没収され、毒もすでに効き目を
失っていたが、「なに、人間、死のうと決めたら、どんな
法でも死ねると思うよ」と言っていた。

彼は、どこで手に入れたか不明だが、錆びたナイフを
手に入れた。

裁判が終わり、最後の容疑者8人が釈放帰還が許されると
いう通知を受けたあと、錆びたナイフで割腹した上、
みずからの手で頸動脈を圧迫するという異常な精神力を
ふるって死の目的を達した。

終戦直後の昂奮時ならともかく、2年を経て、自決したの
は見事というべきである。太平洋戦争敗戦にあたって、
かかる見事な進退を見せた日本軍の将官はきわめて稀で
あった。

panse280
posted at 20:16

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