2013年04月08日

寺田寅彦1878-1935 57歳

「人間臨終図巻(2)」(63)

山田風太郎 1922-2001
fuutaro yamada

2001.03.15 初版(徳間文庫)

<寺田寅彦1878-1935 57歳>
彼の身体はガンに侵されていた。
12月31日に寅彦は息を引き取ったが、11月21日に
幸田露伴は小林勇と共に彼を見舞っている。

寅彦は露伴の見舞いに驚き、かつ感謝していた。

寅彦が体中に痛みが走っていることを露伴につげると、
露伴は「上の方から谷を見るように、気持を静かに
下げてゆきなさい」といった。

帰りの車中で、露伴はつぶやいた。
「寺田君よりおれの方がまだ幸せかも知れない」
悪妻で有名な夫人を持つ露伴が、同じく悪妻で有名な
紳子夫人のようすを見ての感慨であった。

紳子夫人は寅彦の三番目の妻であった。二人の間には
夫婦生活はなかった。


panse280
posted at 20:06

トラックバックURL

コメントする

名前
 
  絵文字