2013年02月27日

阿部定事件

「人間臨終図巻(機法廖23)

山田風太郎 1922-2001
fuutaro yamada

2001.03.15 初版(徳間文庫)

<石田吉蔵 1895-1936 41歳>
阿部定事件である。

石田は雇った女中お加代と密通した。石田はやや
マゾヒズムの傾向があり、性交中に腰ひもなどで
クビを絞められることを望んだ。情交はだんだん
とエスカレートしていった。石田はクビを絞めら
れて情交中に死んだのだが、彼は最後までそれが
遊びだと思っていたかもしれない。お加代は最後
まで石田に惚れていたのだから。

お加代は朝まで、石田の死体に接吻したり、また
自分の局部をあてがったりして悶え狂っていたが、
やがて出刃包丁(情交遊戯の小道具として持って
いたもの)を取りだして、男の陰茎と睾丸を切り
とり、また死体の左腿に、「定」という字を刻み、
血で敷布に「定吉二人キリ」と書き、切断したも
のを紙につつみ、さらに石田のふんどしにつつん
で自分の腹に巻きつけ、午前8時頃待合を逃げ出し
た。

「それは一番可愛い大事なものだから、そのまま
にしておけば、湯灌をするとき、おかみさんが触
られるにちがいないから、誰にも触らせたくない
のと(中略)石田のxxがあれば石田と一緒のよう
な気がして、さびしくないと思ったからです」

お加代の本名を、阿部定という。

石田はこの「図巻」中、幸福な死をとげた稀有な
人間のベスト・テン中の一人である。

panse280
posted at 19:58

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