2013年01月23日

尾形乾山

「あと千回の晩飯」(10)
山田風太郎 1922-2001
fuutaro yamada

2007.09.20 第6刷発行(朝日文庫)
--72才の私が晩飯を食うのもあと千回ぐらいだろう--

<尾形乾山>
「最近尾形乾山の辞世に心ひかれるようになった。
江戸の入谷に釜場をひらいた老乾山は晩年は仕事
もせず、病んでも薬も飲まず、世話する人もなく
ひとり老いさらばえて影のように生きていた。
ある夏の日、長屋の戸がひらかないので、近所の
人はのぞいてみると、辞世の一枚を残して乾山が
ひとり死んでいた。
「うきこともうれしき折りも過ぎぬればただ
あけくれの夢ばかりなる」
・・もう一枚遺言らしきものがあった。
「放逸無惨八十一年、一口呑却、沙界大千」と
いうものだ。・・
近所の人々は・・・(彼が)大芸術家であること
を知らなかった。・・(乾山は)寂しい葬式を
いとなんだ。乾山はたった一人で死んだ。が、
何という人なつかしい死に方だろう。」

panse280
posted at 20:11

トラックバックURL

コメントする

名前
 
  絵文字