2013年01月18日

オムツをあてがわれて死を迎える

「あと千回の晩飯」(5)
山田風太郎 1922-2001
fuutaro yamada

2007.09.20 第6刷発行(朝日文庫)
--72才の私が晩飯を食うのもあと千回ぐらいだろう--

<オムツをあてがわれて死を迎える>
看護婦からベッドの上で用を足すように命令された
風太郎は大反抗の挙に出て、ベッドの柵を乗り越え
ようとして転落、大腿骨の骨頭を欠けさせてしまった。
それによって一歩も歩けなくなった。

「いかなる病気、傷害であろうと、最後までトイレに
かよって自分で始末できる人が何パーセントあるか
知らん。私は、急死でもないかぎり、70%以上はオムツ
をあてがわれて死を迎えるのじゃないかと思う。
およそ死の床にある人間を最も悩ますものは、病気
そのもののほかに、残してゆく遺族の運命、多額を
予想される場合はその治療費、そして排泄の始末だろう。
・・・
永遠の死出の旅に出で立つのにオムツのコスチューム
とは、あまりにも滑稽すぎる。」

明治天皇は糖尿病、慢性腎臓病、尿毒症で入院・
「便意あり。天皇は厠に立とうとし、典侍柳原愛子ら
驚いてこれをとめようとした。天皇は便器を使うのを
厭って争った。主馬頭子爵藤波言忠の苦諌ほとんど
臣従の道を忘れるもののごとく、天皇は抵抗力を失い、
やむなく褥中(じょくちゅう)で排便した。」

panse280
posted at 19:26

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