2012年12月17日

女の空想力

「死言状」(9)
山田風太郎 1922-2001
fuutaro yamada

2005.12.1 初版第一刷発行(小学館文庫)

<女の空想力>
「「亭主たる者はあまり自分の仕事に血道をあげ
ないで、妻ないし家庭サービスに、もう少し力を
入れて欲しい」という女性の側の要求がある。
ごもっともである。
しかし、これに対して、男からの言い分もある。
・・・ふつうの男には、だれだって5年先、10年先
についての漠然たる見通しがある。少なくとも、
見通しをつけようとする。
従って、いまは大丈夫でも、さきはどうなるか
わからないという認識がある。そこで、仕事は
出来るうちにしておけという焦りにとらえられる
傾向がある。ところが、一般に女性は、現在唯今
のことしかわからないらしい。
例えば、いま相当の収入があると、それが永遠に
つづくもののような錯覚を起こすらしい。
・・・
金銭のみならず、美や愛情の問題でも、女性は
しばしばかかる錯覚にとらえられる。そこから
さまざまの悲喜劇が起こる。」

panse280
posted at 20:52

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