2012年12月16日

浮気について

「死言状」(8)
山田風太郎 1922-2001
fuutaro yamada

2005.12.1 初版第一刷発行(小学館文庫)

<浮気について>
「どんないい配偶者で、どんなに安穏な家庭でも、
男は或るときふっとそこから逃げ出して、別の
もう一つの人生を送りたいという欲望にとり憑かれ
ることがあるのだ。そんなことをいえば、女性
だって同じだといわれるかも知れないが、しかし
公平にいって、この欲望は男の方が強烈で、そして
ほとんど例外なしといっていいのではなかろうか。
・・・
女性は子宮の機能の可能性のかぎりをつくしても、
まず1年に1人、しかも生涯のうち30数年の或る
期間だけに限られる。
しかし男はその機能の可能性のかぎりをつくせば、
1年に数百人、生涯に数千人の子孫を残すことも、
理論的には成立するのである。これを同一条件に
置くということは、人の理には合うかもしれない
が、天の理に反する。ここのところをよくよく
御了解願いたおのである。」

panse280
posted at 15:54

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