2012年12月01日

風々院風々風々居士の墓

「半身棺桶」(2)
--1991.10徳間書店--
山田風太郎 1922-2001
fuutaro yamada

1998.02.15 初版発行(徳間文庫)

<風々院風々風々居士の墓>
「私はことし67歳になるが、もう10年か前に、・・・
東京近郊に墓地を求めた。・・・ほんとうをいうと、
私は墓など要らないのである。墓はもとより葬式も
無用と考えている。
・・・いちばん感心した一つの墓があった。それは
昔見た京の嵯峨の竹林の中の去来の墓である。
大竹藪の底に落葉に埋もれて、知らずに歩けばつま
ずきそうなほど小さい石のかけらに、ただ「去来」と
刻んでいた。そうだ、墓はこれに限る、と手を打った
ことをおぼえているが、さて、これになろうとすると、
やはり、いけない。これはそのまわりが大竹林であって
はじめて効果のある石のかけらだからである。
げんにその後何年かたって再訪したら、その竹藪を
切りはらって家が建てられて、その小さな去来の墓を
囲む景観が全く変わっているのに憮然とした。」

注)「風々院風々風々居士」は山田氏自作の戒名。

panse280
posted at 19:13

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