2012年09月08日

心ある人ならば

「国家(下)」(19)
--正義について--
(BC375年頃、プラトン50〜60歳の作)
プラトン
platon bc427-bc347
藤沢令夫 訳

1979.06.18 第1刷発行(岩波文庫)

<心ある人ならば>
「身体の状態や養育を獣的で非合理な快楽に
委ねて、そこにのみ関心を向けて生きる、という
ようなことをしないのはもちろん、健康を目標と
することさえなく、・・・(健康や美にかんしても)
・・・そのことから思慮の健全さが得られると
期待できるのでないなぎりは、これを重要視する
こともないだろう。
・・・
財貨の獲得において秩序と協和をはかろうとする
のも、やはり同じ目的のたけではないだろうか?
・・・
財貨の山を際限なく積み上げることにより、これ
また際限のない禍いをかかえこむようなことは
しないだろうね?
・・・
さまざまな名誉についても、・・・自分をいっそう
すぐれた人間にしてくれるだろうと考える名誉で
あれば、すすんでこれを与り、享受するだろう
・・・
(そのような人は)国の政治に関することを、
すすんで行なおうという気持ちにはならないで
しょうえね。」

「(そのような人が政治に参加できるような国は
現実にはおそらくはない)しかしながら、その国
が現にどこにあるかどうか、あるいは将来存在す
るだろうかどうかということは、どちらでもよい
ことなのだ。なぜなら、ただそのような国家
(言論のうちに存在する国家、理想的な範型とし
て天上に捧げられて存在するだろう)の政治だけに、
彼は参加しようとするのであって、他のいかなる
国家のそれでもないのだから」


panse280
posted at 19:29

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