2012年06月26日

日本の古典と私

「生きる意味を問う」(23)
--私の人生論--
三島由紀夫  1925-1970
yukio mishima
1997.9.18 初版発行(学陽書房・人物文庫)
(1984年単行本として大和出版より刊行されたもの)

<日本の古典と私>
「擬古古典主義というものが、私(三島)の中に育って
ゆく素地が養われたのは、・・・一つには谷崎潤一郎氏
の中期以後の作品の魅惑のおかげであった。谷崎氏の
作品を通じ、またその「文章読本」を通じて、私は日本
古典に対する好奇の目をひらかされて行ったのである。
・・・
結局あとになってみると戦争中の少年期に私が親しんだ
古典のうち、最も私に本質的な影響を与え、また最も私の
本質と融合していたのは、能楽であると思う。
戦時中の作品「中世」がそれであるし、戦後の「近代能楽
集」や、小説「金閣寺」から「英霊の声」にいたるまで、
能楽はたえず私の文学に底流してきた。能のもつメランコ
リー、その絢爛、その形式的完璧、その感情の節約は、私
の考える芸術の理想を完備していた。
今でも時折、新刊書の堆積に飽きると、・・・古典を枕頭
にそなえて読む。馬琴の「弓張月」は、私には、どんな
現代小説よりも面白い。また「葉隠」は、私の人生の師と
して実に大切な本である・・・」

panse280
posted at 21:06

トラックバックURL

コメントする

名前
 
  絵文字