2012年06月13日

西洋美術史から青年像を8点選ぶ(2)

「生きる意味を問う」(10)
--私の人生論--
三島由紀夫  1925-1970
yukio mishima
1997.9.18 初版発行(学陽書房・人物文庫)
(1984年単行本として大和出版より刊行されたもの)

<西洋美術史から青年像を8点選ぶ>(2)

5 悲壮(聖セバスチャンの殉教)
「数ある聖セバスチャンの殉教図の中から、人に
あまり知られていないこの一枚を選んだのは、こ
のセバスチャンに限って、ローマ兵士の粗野な骨格
に、「何糞ッ」といいたげな不屈な表情を持してい
るという点で、甚だ異色なものだからである。」

6 安逸(バッカスの勝利)
「そこには精神的なものはみじんもない、・・・
目は何ものも語らず、腹はたるみ、しかし青年の力
は、無限につづく快楽を片っぱしから呑み干してしま
えるほどに強い。だから人々はこの青年のまわりに
拝跪して、きづたの葉の冠をかぶせてもらい、永遠に
バッカスにあやかろうと念じているのである。」

7 英雄(ナポレオン・ボナパルトの肖像)
「このナポレオンの肖像画には、青年としての英雄の、
不安と情熱と悲劇的運命がみごとに浮彫りされている。
・・・もしこれを、一人の英雄の肖像画としてでなく、
一人の青年の肖像画として眺めるなら、そこには若い
ロマンチック詩人の心の霧のような不安が忽ち立ちこ
めてくるにちがいない。」

8 憂鬱(若者と死)
「モローはこういう青年像を数知れず描いた。
・・・この青年像は、以上八枚のうちでも、もっとも
不吉、もっとも薄命な青年像と云えるであろう。
・・・そのころには、まだロマンチックの余映の蒼ざめ
た青年たちが生きていた。その青年は死んだ。そして
そのあとから、元気な、血色のよい、しかし芸術に
興味を持たない、新しい実務的な時代の青年たちが
登場して来たのである。」


panse280
posted at 21:13

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