2012年06月12日

西洋美術史から青年像を8点選ぶ(1)

「生きる意味を問う」(9)
--私の人生論--
三島由紀夫  1925-1970
yukio mishima
1997.9.18 初版発行(学陽書房・人物文庫)
(1984年単行本として大和出版より刊行されたもの)

<西洋美術史から青年像を8点選ぶ>(1)
1 闘志(円盤投げ)
「この青年に、かくも優雅で美しい姿勢をとらせて
いるものは、思想でもなければ夢でもない。一個の
手ごたえのある円盤なのだ。」

2 勝利(青銅馭者像)
「かってデルフォイの美術館で、この像に対面した
ときの感動は忘れがたい。・・・
このデルフォイの馭者像で、私がもっともうたれる
のは、勝利に傲(おご)らぬ青年の謙虚な晴れやか
さである。その凛々しい澄んだ目は決意を秘めている
が、彫刻家は、競技中の緊張のこの集中、この澄んだ
独楽(こま)のような集中のみが、真に勝利をモニュ
メンタルなものにし、青春を不朽なものにすることを
知っていたのであろう。」

3 苦悩(瀕死の奴隷)
「このミケランジェロの傑作は、青年の超脱的な苦悩
とその敗北の悲劇的な運命とを、いつの時代にも妥当
するうように造型している。
・・・
青年の苦悩は、隠されるときもっとも美しいということ
をこの像は語っているように思われる。形は裸像だが、
これほど深く何かを秘し隠している青年像はめずらしい。」

4 理知(手袋をもつ男)
「ティツィアーノのこの肖像画は、どうしてこれほど
までに有名なのだろうか。私は、女性像としてのモナ・
リザと反対に、青年の肖像画として、青年の理知的な
明晰さ、全く謎を持たない深みを、これほど豊かに
描いた肖像画はないからだろうと考える。
・・・
この青年には魂の疾風怒濤はあるまい。あるのは、正し
く組み立てられた構造的な人間理性と、それから、やや
冷たい感情だけなのである。」

panse280
posted at 21:06

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