2012年05月15日

堀江謙一

「反貞女大学」(28)

三島由紀夫  1925-1970
yukio mishima
1994.12.05 第1刷発行(ちくま文庫)

--第一の性--
<堀江謙一>
「私(三島)の知っているヨットマンには、いい意味
でも悪い意味でもダンディーが多かったが、堀江君に
はそんなところはみじんもありませんでした。
・・・
ユーモアというのも、大きな男性的要素であって、西郷
隆盛が男性的である理由の一つは、そのユーモアにある、
と云っても過言ではない。チャーチル卿も、決してクソ
マジメな男ではありません。
ユーモアとは何かというと、どんな場合も自分を客観視
できる余裕のことで、カッとするとヒステリーになる
女性には、本質的にユーモアが欠けています。夫婦漫才
を見てもよくわかるように、あれは女という「ユーモア
の欠けた存在」を、面白可笑しく見せるために、男が
バカの役を演じて、ユーモアの引出し役をつとめている
のです。
・・・
航海中どんなに困ったときも、・・・堀江君は「こんな
ことなら、家にいて、・・寝ころがっていたほうがよか
った」と思ったことはないでしょう。
・・・
近ごろ・・・生活を楽に、快適に、なるたけ怠けて、
しかも便利な日常を送ることを、人間の本当の欲求の
ように錯覚している人に、よくよく考えてもらいたい
点です。人間は安楽を百パーセント好きになれない
動物なのです。特に男は。・・・こればかりは、どん
なにえらい御婦人たちが矯正しようとかかっても、永久
に治らない男の病気の一つであります。」

panse280
posted at 19:55

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