2012年05月14日

エルヴィス・プレスリー

「反貞女大学」(27)

三島由紀夫  1925-1970
yukio mishima
1994.12.05 第1刷発行(ちくま文庫)

--第一の性--
<エルヴィス・プレスリー>
「あのヨーグルトを固めたような男が、男性の性的魅力
の代表であるということについては、異論のある人が
多いと思う。しかし彼は・・・今世紀における最大最高
の男性のセックス・シンボルであり、その地位は当分ゆ
らぎそうもありません。
・・・
私(三島)などは、プレスリーの映画を見るたびに、
「男というものは、極端まで行くと、ここまで行ける
ものなんだなァ」と思わずにはいられません。
・・・
男として、ただ、性、性、性を塗りかためたような存在
として、成功することができる、という事実に呆れて
しまうのです。
・・・
しかもそれを男の中の男と呼ぶには、何か欠けているよう
なこの男。・・・こんな男は、歴史を見ても、一寸比べる
ものがなく、深沢七郎氏のように、キリストを引張り出し
て来る他に、処置がないのかもしれない。しかし、男とい
うものは、別にそんな存在になるために生まれてくるわけ
じゃない。・・・(プレスリーは)「性の神」になるよう
に生まれついた男である。ひょっとすると、彼がアメリカ
人であるということは、女性の権力が強くなりすぎた社会
における、男性の側からの永い怨みと復讐のしるしかも
しれないのです。
「ああ、女たちよ・・・なんて君らは低俗な趣味なんだ。
腰を振ってやろうか。うれしいか。ざまあみろ。俺の前
じゃ、みんな仮面ははがれてしまうんだ。いくらとりすま
した顔をして、威張っていたって、こんな下品な歌一つで
一コロなんだ。・・・」
プレスリーの歌をきいていると、私(三島)は砂糖菓子
みたいな歌詞のむこうがわで、彼がたえず上記のように
歌っている声をきくような気がします。彼は全女性の
拷問道具で、搾木(しめぎ)にかけて、とうとう彼女
たちを白状させたのです。」

panse280
posted at 22:54

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