2012年05月05日

第一の性

「反貞女大学」(18)

三島由紀夫  1925-1970
yukio mishima
1994.12.05 第1刷発行(ちくま文庫)

--第一の性--
<男はみな英雄>
「結婚後二、三年の女性たちが集まると、
「男というものは、バカで、単純で、お人よしで、
要するに子供である」
という結論に落ちつくようであります。

結婚後十数年の女性たちが集まると、
「男というものは、多かれ少なかれ、悪党で、ウソ
つきで、油断がならず、要するに謎である」
という結論が出るようであります。

金婚式にまで辿りつくと、
「男というものは、バカで、単純で、お人よしで、
要するに子供である」
というところに落ちつくようであります。
・・・
われわれ男から見れば、「チェッ、わかってないな」
と言うほかはない。
・・・
男はとにかくむしょうに偉いのです。
・・・
男は一人のこらず英雄であります。私は男の一人として
断言します。ただ世間の男のまちがっている点は、自分
の英雄ぶりを女たちにみとめさせようとすることです。
・・・
男というものは、可哀想に、子供のときから嵐の中で
育って行きます。
・・・
「何くそ!何くそ!」これが男の子の世界の最高原理
であり、英雄たるべき試練です。
・・・
男の愚劣な英雄ごっこは、・・・あらゆる大哲学や大
征服事業や大芸術を生み出した英雄ごっこへと到達する
のです。つまり男の足は、女よりもずっと容易に、地に
つかなくなりうるのです。「足が地につかない」ことこそ、
男性の特権であり、すべての光栄のもとであります。」

panse280
posted at 19:28

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