2012年04月29日

第十一講 同性学

「反貞女大学」(12)

三島由紀夫  1925-1970
yukio mishima
1994.12.05 第1刷発行(ちくま文庫)

<第十一講 同性学>
「女性の同性愛は、・・・異性愛のさかんな国ほど
女性の同性愛が多く、女性の同性愛の顕著なところ
ほど男性の同性愛は少ない、という説を立てている
人がいます。
・・・
ラテン系諸国、フランス、イタリア、スペインなどでは
、女がすこぶる男にチヤホヤされ、むしょうやたらに官能
的対象とされる。これはアングロサクソン系諸国、たとえば
イギリスやアメリカのように、女性があくまで立てられ、
尊敬されているたてまえの国とちがって女がはっきり女と
して扱われている。
・・・
しかし、女が女としていつも扱われつづけるということは、
女が対象として「物」として扱われつづけるということに
ほかならない。多少とも自主性に富んだ女性は、そんな風
にいつも自分をオブジェ扱いされることにはたえられない。
そこで、自主性を回復する手段として同性愛が用いられ、
女が女を愛することによって、はじめて女は、オブジェたる
ことから脱却する。」

panse280
posted at 18:49

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