2012年04月15日

仮面の告白

「太陽と鉄」(8)

三島由紀夫  1925-1970
yukio mishima
2011.1.30 第7刷発行(中公文庫)

--私の遍歴時代--
<「仮面の告白」>
「今になってつくづくわかるのは、あの小説(「仮面
の告白」)こそ、私が正に、時代の力、時代のおかげで
もって書きえた唯一の小説だとぴうことである。
・・・
何とかこれを書き上げて、寝不足の目をしょぼつかせて、
河出書房の坂本一亀氏に、三百四十枚の原稿を手渡した
のは、昭和二十四年の四月二十四日、場所は、御多分に
もれず、神田の「ランボオ」であった。
これを書いたことは、大いに私の気分を軽くし、また、
妙に自信をつけた。
・・・
「仮面の告白」のような・・・小説を書いたあとで、
二十四歳の私の心には、二つの相反する志向がはっきりと
生まれた。一つは、何としてでも、生きなければならぬ、
という思いであり、もう一つは、明確な、理知的な、
明るい古典主義への傾斜であった。
・・・
私は認識こそ詩の実体だと考えるにいたった。それと
ともに、何となく自分が甘えてきた感覚的才能にも愛想
をつかし、感覚からは絶対的に決別しようと決心した。
そうだ、そのためには、もっともっと鴎外を読もう。
鴎外のあの規矩の正しい文体で、冷たい理知で、抑えて
抑えて抑えぬいた情熱で、自分をきたえてみよう。」

panse280
posted at 19:20

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