2012年04月11日

打撃の成功

「太陽と鉄」(4)

三島由紀夫  1925-1970
yukio mishima
2011.1.30 第7刷発行(中公文庫)

<打撃の成功>
「(打撃の成功とはなにか)その判断は、敵が瞬時
に見せる隙をとらえることから起り、その隙が見えて
くるにいたる直前に、その隙を直観していたからで
ある。その直観は自分に知られない或るもので、永い
修練過程に会得されたものである。
見えてからでは遅いのだ。つまりあの剣尖の先にある
空間にひそむ何ものかが、一つの形態をとってから
では遅いのだ。そしてそれが形態をとった瞬間には、
すでにこちらの指定し創造した空間の凹みに、ぴったり
はまり込んでいなければならないのだ。これこそは
格技における勝利の刹那である。」

「私は正しい美しい形態が、醜い不正確な形態を打ち
負かすのを見た。形態の歪みには必ず隙があり、そこ
から放射される力の光線は乱れていた。」

panse280
posted at 19:57

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