2012年03月30日

自分の意見を堂々という若者

「若きサムライのために」(4)

三島由紀夫  1925-1970
yukio mishima
2000.12.05 第8刷発行(文春文庫)

<自分の意見を堂々という若者>
「戦後の若い人たちが質問に応じて堂々と自分の
意見を吐くのを、大人たちは新しい日本人の姿だ
と思って喜んでながめているが、それくらいの
意見は、われわれの若い時代にだってあったので
ある。ただわれわれの若い時代には、言うにいわれ
ぬ羞恥心があって、自分の若い未熟な言論を大人の
前でさらすことが恥かしく、またためらわれたから
であった。そこには、自己顕示の感情と、また同時
に自己嫌悪の感情とがまざり合い、高い誇りと同時
に、自分を正確に評価しようとするやみ難い欲求と
が戦っていた。
いまの若い人たちの意見の発表のしかたを見ると、
羞恥心のなさが、反省のさなに通じている。」

panse280
posted at 20:57

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