2012年03月28日

約束

「若きサムライのために」(2)

三島由紀夫  1925-1970
yukio mishima
2000.12.05 第8刷発行(文春文庫)

<約束>
「このごろの青年の時間にルーズなことには
驚くのほかはない。
・・・
学生時代に約束や時間を守らなかった人間ほど、
かえって社会の歯車である自分に満足してしまう
人間ができあがりがちなのである。
・・・
一旦約束を結んだ相手は、それが総理大臣であろう
と、乞食であろうと、約束に軽重があるべきではない。
それはこちら側の信義の問題だからだ。
上田秋成の「菊花の約(ちぎり)」という小説は、
非常に信じあった友人が、長年の約束を守るために、
どうしても約束の場所、約束の時間に行くために、
人間の肉体ではもう間にあわなくなって自殺して、
魂でもって友人のところにあらわれるという人間の
信義の美しさを描いた物語である。
・・・
私(三島)は昔から約束を守らない女性は、どんな
美人であっても嫌いである。なぜなら私の考えでは、
どんな快楽も信義の上に成り立つという考えだから
である。」

panse280
posted at 19:51

トラックバックURL

コメントする

名前
 
  絵文字