2012年03月21日

古人の知に達する二つの方法

「行動学入門」(5)

三島由紀夫  1925-1970
yukio mishima
1995.1.20 第22刷発行(文春文庫)

--革命哲学としての陽明学--

<古人の知に達する二つの方法>
われわれが認識ならぬ知に達する方法としては古人が
すでに二つの道を用意していた。

1 認識それ自体の機能を極限までおし進めるアポロン的方法

2 理性のくびきを脱して狂奔する行動に身をまかせ、そこに
生ずるハイデッカーのいわゆる脱自、陶酔、恍惚、の一種の
宗教的見神的体験を通じて知に到達する方法

<革命の哲学>
「陽明学を革命の哲学だというのは、それが革命に必要な
行動性の極致をある狂熱的認識を通して把握しようとしたもの
だからである。私(三島)がこう言うのは、学問によってでは
なく行動によって今日までもっとも有名になっている大塩平八郎
のことをいま思いうかべるからだ。
大塩平八郎については、森鴎外に「大塩平八郎」という作品が
あるが、・・・アポロン的な鴎外は、大塩平八郎のディオニュソス
的な行動に対して十分な感情移入をなしえず、むしろ一揆鎮圧に
当った有能な与力坂本鉉之助のほうに視点をおいているのである。」

panse280
posted at 19:44

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