2012年03月15日

男の孤独感

「不道徳教育講座」(25)

三島由紀夫  1925-1970
yukio mishima
2010.5.15 改版25版発行(角川文庫)

<男の孤独感>
「私(三島)は同じ同性として、男性の孤独感を
喪失した男を見ると、憤懣を禁じえない。この
孤独感こそ男のディグニティの根源であって、これ
を失くしたら男ではないと言ってもいい。
子供が十人あろうが、女房が三人あろうが、いや、
それならばますます、男は身辺に孤独感を漂わして
いなければならん。
・・・
このごろは、ベタベタ自分の子供の自慢をする若い
男がふえて来たが、こういうのはどうも不潔でやり
きれない。
・・・
「子持ちの感情」などは厳密に個人的なもので、
人の共感に訴える筈のものではないのです。
男性の孤独感というものは、近代では職業的孤独感
と言ったらいいかもしれない。
・・・
職業に熱中しているときは、「装われた独身者」で
はなくて、「本質的な独身者」に還っている。
・・・
彼女たちは、男の中の、右(上記)のような本質的
な独身性をどうしてもみとめたがらない。実に困った
ことである。
・・・
その男が自分の良夫になれば、もう本質的な独身性
というやつを、何とか自分の手で拭い去ってしまお
うと努力する。そして、「私のことを愛していない
の?」などとオドカスのです。
結婚してもしなくても、子供がいてもいなくても、
男は男であり、いや、結婚して子供がいればこそ、
彼はさらに「孤独な男」だというところに、女性は
もっと開眼してほしい、と私は声を大にして力説
したい。」

panse280
posted at 23:43

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