2012年03月14日

子供は恐ろしい

「不道徳教育講座」(24)

三島由紀夫  1925-1970
yukio mishima
2010.5.15 改版25版発行(角川文庫)

<子供は恐ろしい>
「悪のないドラマ、否定面のないドラマというもの
はこの世にはない。・・・その意味で、映画やテレビ
から、子供のために悪を放逐しようとしたって、子供
は「清純な家庭劇」だけで満足する筈もないし、どうせ
こっそり、ギャング物を見に行くにきまっている。
・・・
映画やテレビで、しょっちゅう悪者に親しませておけば、
社会へ出てから、大人の社会の悪におどろくことが少な
くなり、「悪」に対して免疫制になる。そして月光仮面
の正義感みたいなものがいかに無力であるか、を早く
知ることが出来る。
・・・
子供の考えというのは恐ろしいもので、コクトオが
書いているフランスの中学校の寄宿舎の話で、友だちの
我儘を訴えた生徒たちに、「あなた方は自分たちの問題
を自分たちで処理する習慣をつけなければいけません」
と言ったところが、あくる朝、その我儘な生徒が、縛り首
にされている死体が発見されたというのです。これは
大人の抽象的人生訓に従うことが、子供をしてそのまま
正当に罪を犯させた面白い例です。」

panse280
posted at 22:49

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