2012年02月26日

女には暴力を用いるべし

「不道徳教育講座」(7)

三島由紀夫  1925-1970
yukio mishima
2010.5.15 改版25版発行(角川文庫)

<女には暴力を用いるべし>
藤原義江はイタリーでイタリー女と恋をした。
藤原氏が日本に帰ることになって、ローマ駅で
の別れのシーンである。

藤原「僕たちの二人の間に、何か一つでも不満な
ことがあったら、言ってごらん」

女「そりゃあ私たちは幸福だったわ。私は生まれて
からこんな幸福は知りませんでした。でも・・・」
と彼女は言いよどんで、
「・・・でも、あなたは本当に私を愛していたの
かしら」

藤原「愛していたとも。こんなに愛していたじゃ
ないか」

女「そうでしょうか。私には何だかもう一つ物足り
ないの。あなたがもし本当に愛していて下さったの
なら・・・」
汽車は動きはじめた。

藤原「何だって?」

女は氏の姿を追いながら、大声で叫びました。

「もし本当に愛していて下さったのなら、どうして
一度も私をなぐってくれなかったの」

汽車は去りました。

藤原「なるほどこれが女の本音だったんだ。僕はまだ
女というものを知らなかった!」

注)藤原 義江(男性、1898年12月5日 - 1976年3月22日)
は、日本のオペラ歌手。
戦前から戦後にかけて活躍した日本を代表する歌手の一人
であり、藤原歌劇団の創設者。スコットランド人の父親と
日本人の母親との間に生まれたハーフ(混血)。


panse280
posted at 18:11

トラックバックURL

コメントする

名前
 
  絵文字