2012年01月21日

「上記」(うえつふみ)

「神武天皇実在論」(5)
林房雄  1903-1975
fusao hayashi
本書は、1971年、光文社から刊行された
「神武天皇実在論」に、著者が生前、一部
加筆したものを、文庫化したものです。
2009.7.27 初版発行(学研M文庫)

<「上記」(うえつふみ)>
大分図書館に所蔵されている「上記」は、今は
散逸して二十数巻となり、約百年ほど前に再複写
されたものらしい。(「上記」は鎌倉時代初期の
編纂で、その原本は残っていない。)

「上記」(大友能直編集)
「上記鈔訳」(吉良義風)

「上記鈔訳」の序文を書いた岸田吟香(1833-1905)
は画家岸田劉生の父である。
吟香はヘボン博士の英和辞典編纂の協力者であり、
わが国新聞事業の先駆者である。
「(序文には)この本は、日本の上代研究に欠かせ
ないもの、と断じている。」

「上記」や「神皇記」などが出版された大正11年
当時は、東京日日新聞、万朝報、時事新報、国民
新聞、読売新聞、都新聞、中央新聞、報知新聞、
朝日新聞(東京、大阪)等々で、絶賛される記事
で埋め尽くされていた。

「斉藤内大臣と東大教授を顧問とする財団法人
「富士文庫」までできながら、ある文献学者が
偽書と断定したために「文庫」は解散し、「富士
古文書」は再び埋もれてしまったということが、
私(林)にはいかにも不審である。
もし「神皇紀」を読まなかったら、何の不審も
いだかなかったであろうが、私は読んだのだ。
篤志の研究者神原信一郎博士も認めているとおり、
「富士古文書」にはたしかに後世の偽書も加わって
いるが、その根幹となる記録は真書らしい、と
私にも思える。」
注)偽書と断定した文献学者の名前は不明である。

panse280
posted at 19:31

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