2011年08月13日

「道草」(夏目漱石)

「父の像」(2)

吉本隆明1924-
takaaki yoshimoto
2010.6.10 第1刷発行(ちくま文庫)

<「道草」(夏目漱石)>
「(無意識の問題)が少し作品の中で出てくるの
は、多分「道草」だけだと思います。・・・
この「道草」という小説は、漱石の唯一の自伝的
家庭小説なんですけれども、僕(吉本)はそういう
読み方でなしに読みたいところがあります。
文体から言えばとても新しい作品で、つまり今の
ことばでいえば実存主義的なといいますか、一種の
根源的な不安感、根源的な生活感みたいなものを
表現した、ある意味で漱石のいちばんいい作品です。
・・・
漱石は、やっとそこらで、本来は無意識の領域にある
じぶんの荒々しい波立ちを脱出することになって
います。」

吉本隆明さんは「道草」を「ある意味で漱石のいち
ばんいい作品です。」といいます。私も同感です。
これから社会に出て、そして結婚するすべての男女
に読んでほしい作品です。
古人曰く、「名作とは一見、退屈なものである」
名作は自然に似ている。味わい尽くせないものが
静かに息づいている。「道草」はそんな作品である。

panse280
posted at 19:21

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