2011年07月18日

漱石小伝(4)

「決定版 夏目漱石」(24)

江藤淳 1932-1999
jun etou

2006.9.20 第12刷発行(新潮文庫)
(この本の内容は1955-1974に書かれたもの)

<漱石小伝(4)>

<「こころ」--性悪説>
「エゴイズムが醜悪なら、私的動機からなされる
自殺もまた醜悪である。それが許されるとすれば
自分を超える価値に「殉じて」行われる場合だけ
だ、こういう判断の根底にあるのが一種の性悪説で
あることはいうまでもない。
・・・
「こころ」は、出版社をはじめた門弟岩波茂雄の
初仕事を祝って自費出版されたが、自装したこの
作品の表紙に漱石はおそらく「康煕字典」ではな
いかと思われる辞書の「心」の部を用いている。
そこに引かれているのは荀子「解蔽篇」の
「心者形之君也而神明之主也云々」という一節で
あるが、思うに特にこの箇所を装釘に用いた漱石
の心中には、荀子の徹底した性悪説に共鳴し、それ
を引いて自分の「生」への恐れを暗示したいという
欲求がなかったとはいえないのである。」

panse280
posted at 19:55

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