2011年07月17日

漱石小伝(3)

「決定版 夏目漱石」(23)

江藤淳 1932-1999
jun etou

2006.9.20 第12刷発行(新潮文庫)
(この本の内容は1955-1974に書かれたもの)

<漱石小伝(3)>

<公的か私的か、社会か自然か、それが問題だ>
「人間の価値は彼がどれだけ完全に公的な役割
を果たし得るかということで決まるという儒学
の世界観のなかで育った漱石は、単に私的な、
孤独な衝動にすぎないエゴイズムを容認できな
かった。・・・スペンサー流の社会進化論は、
漱石がその存在の奥底でつねに感じつづけていた
エゴイズムの醜悪さの認識と、当然背馳した」

「「それから」以後の漱石を、もっぱら実存的
関心によって書いた作家といってもよいであろう。」

「「それから」で彼は、あえてエゴイズムの衝動
に従う決心をした男を描いた。」

漱石の「それから」を当時、新進作家、武者小路実篤
は以下の様に評する。
「自然に従うものは社会から外面的に迫害され、
社会に従うものは自然から内面的に迫害される、
人の子はどうしたらいいのだろう。・・・これが
「それから」全体に顕われたる問題だと思う。」
(「白樺」明治43年4月号)

panse280
posted at 18:09

トラックバックURL

コメントする

名前
 
  絵文字