2011年07月14日

「こころ」

「決定版 夏目漱石」(20)

江藤淳 1932-1999
jun etou

2006.9.20 第12刷発行(新潮文庫)
(この本の内容は1955-1974に書かれたもの)

<「こころ」>
「主題となっているのは、人間の孤絶、あるいは
愛の不可能性である。創作態度は明瞭に倫理的で
あり、叙述は簡潔かつ明晰、文体は抑制美の模範
ともいうべく、その効果はきわめて深い。
私(江藤)がはじめて「こころ」を読んだのは
中学生のときであるが、その厳格な文体の美と
全篇にみなぎる悲劇の感覚に深くうたれたのを、
今でもありありと思い出すことができる。爾来、
私は、少なくとも十回は「こころ」を読んでいる
が、読むたびにはじめて巻を開くような新鮮な
感動を覚えるのは、不思議というほかない。
その意味でも、これはきわめて希有な小説である。」

「「先生」の自殺したのは、それがエゴイズムの
苦痛からの唯一の逃げ道になると思われたからで
ある。しかし、同時に、彼が「明治の精神に殉死」
したことも、動かしがたい事実である。」

明治天皇崩御後の乃木将軍夫妻の殉死について
英国<タイムズ>は次ぎのように報じた。
「御大葬当日、乃木伯爵と伯爵夫人が自殺を決行
したという知らせは、わが同盟国日本がその偉大
さを負っている精神が、依然として生きている
ことの、驚嘆すべきしるしである。」

社会が、無政府主義、社会主義、マルクシズムなど
革命思潮に染まる中、明治天皇崩御、乃木将軍夫
妻の殉死は、混乱する明治の教養人達を覚醒させた。

panse280
posted at 19:44

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