2011年07月13日

儒学的世界像の崩壊

「決定版 夏目漱石」(19)

江藤淳 1932-1999
jun etou

2006.9.20 第12刷発行(新潮文庫)
(この本の内容は1955-1974に書かれたもの)

<儒学的世界像の崩壊>
「一般に儒学、特に朱子学の倫理によれば、
人間存在の意味は、人間の超越的な「天」に
対する関係によってのみ決定される。もし、
人間が・・・「天」から切り離されてしまえば、
・・・まったく無価値な存在となる。」

「彼(漱石)はどうしても、この世界のなかに
人間が存在するということが、本質的に罪であり、
汚いことだという結論に到達するほかはなかった
のである。」

「この「汚い」存在を回避する道は」二つしか
なかった。

第一は「狂気にいたるまで大胆かつ強烈に自己を
主張することである。」
「行人」はこの見地から書かれた。

第二は「無理やりに自己を抹殺すること、すなわち
自殺である。」
「こころ」はこの見地から書かれた。

漱石には第三の道、すなわち宗教の「門」は開かれ
なかった。

panse280
posted at 23:36

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