2011年06月28日

神経衰弱結構なり

「決定版 夏目漱石」(5)

江藤淳 1932-1999
jun etou

2006.9.20 第12刷発行(新潮文庫)
(この本の内容は1955-1974に書かれたもの)
当時、江藤氏は23歳の慶応の学生だった。

<「文学論」序文より--神経衰弱結構なり>
「英国人は余を目して神経衰弱と云えり。ある
日本人は書を本国に致して余を狂気なりと云へ
る由。賢明なる人々の言ふ所には偽りなかるべ
し。・・・ただ神経衰弱にして狂人なるが為め、
「猫」を草し「漾虚(やうきょ)集」を出し、
また「鶉籠(うづらかご)」を公(おおや)け
にするを得たりと思へば、余はこの神経衰弱と
狂気とに対して深く感謝の意を表するの至当なる
を信ず。・・・余は長(とこ)しへにこの神経
衰弱と狂気の余を見棄てざるを祈念す」

<生きる---「道草」と「猫」>
「ともかくも生きなければならなかった。その
努力の記録を、ぼくらは「道草」の中に見、そ
の一種の生活技術的調節作用を「猫」の執筆の
中に見るわけである。」

panse280
posted at 20:03

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