2011年06月22日

漱石とセックス

「世界文学のスーパースター夏目漱石」(18)

ダミアン・フラナガン 1969-
damian flanagan

2007.11.29 第1刷発行(講談社インターナショナル)

<漱石とセックス>
漱石の作品にはセックス描写は一度も出てこない。
「ひょっとして彼は、抑圧された同性愛者なので
あろうか?・・・とはいえ、彼は7人の子供の父親
であり、道ならぬ恋を執拗に描いているのも事実だ。」

セックス描写がない本なんて売れないよ、という声
は確かにある。また、売れなくなった作家が最後の
手段としてセックス描写を乱発することもある。

おそらく、小説というものを読み出した若者が最初
に疑問に思うのは、小説というのはどうして、こんな
にもセックス描写が多いのだろう、ということだ。
森鴎外の「ヰタ・セクスアリス」にも同様な疑問が
かいてある。

余談だが、手塚治虫の膨大なマンガ全作品の中に、
おそらく、セックス描写はなかったと思う。

現代の小説をもし、明治時代に出せば、おそらく
その大半が発禁処分になることはまちがいない。
鴎外の「ヰタ・セクスアリス」でさえ発禁処分に
なったのだから。

補記:「ヰタ・セクスアリス」(森鴎外)より
「金井湛(しずか)君は哲学が職業である。
・・・
金井君は自然派の小説を読む度に、その作中の人物が、
行住坐臥(ざが)造次顛沛(てんぱい)、何に就けて
も性欲的写象を伴うのを見て、そして批評が、それを
人生を写し得たものとして認めているのを見て、人生は
果してそんなものであろうかと思うと同時に、或は自分
が人間一般の心理的状態を外れて性欲に冷澹(れいたん)
であるのではないか、特に frigiditas (ラテン語:性的
不感症)とでも名づくべき異常な性癖を持って生れたの
ではあるまいかと思った。」

panse280
posted at 21:40

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