2011年06月18日

坊っちゃん

「世界文学のスーパースター夏目漱石」(14)

ダミアン・フラナガン 1969-
damian flanagan

2007.11.29 第1刷発行(講談社インターナショナル)

<「坊っちゃん」>
「漱石が「坊っちゃん」以外の作品を一つも
残していなかったら、この作品が日本文学に
おける最高傑作として名をとどめたであろう
ことはまちがいない。」

「坊っちゃん」は英語圏ではほとんど読まれて
いない。1910,1920年代、日本人によって英訳
された英文は読むに耐えない代物だった。今で
も、これらの本は出回っている。

1960年代に入り、「草枕」の名訳で知られる
ターニーが「坊っちゃん」の翻訳に挑戦した。
しかし、・・・ユーモアがほとんど訳出され
ていない・・・
フラナガン自身、「坊っちゃん」の初見は
つまらないものだったのだ。「坊っちゃん」の
文体や東京弁と松山弁を英語に再現させること
は不可能だのだ。

「坊っちゃん」の面白さは、「勝ち組」(権力
やお金に媚びる)になることを蹴飛ばしている
ことだ、俗物になることを拒否していることだ。
この深刻なテーマを「笑わせることの出来る作品」
として仕上げていることだ。

「日本人の多くは「坊っちゃん」は日本人しかわか
らないと思っているかもしれないが、それは大きな
間違いだ。私(フラナガン)にとって「坊っちゃん」
はギリシャのアリストパネスの「女の平和」や
「ドン・キホーテ」に匹敵する傑作である。
シリアスなテーマを持つ作品として、熟達したコメ
ディーとして、「坊っちゃん」はとにかく他を
しのいでいる。」

漱石は「坊っちゃん」を一週間ほどで書き上げた。
この作品執筆当時、漱石は東京帝国大学で講師を
務めていた。松山にいたのは10年前である。
「坊っちゃん」の中の”教師”への憤懣は、帝大
の教授陣たちへの憤りでもあっただろう。


panse280
posted at 19:31

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