2011年06月17日

漱石は近代のシェークスピアである

「世界文学のスーパースター夏目漱石」(13)

ダミアン・フラナガン 1969-
damian flanagan

2007.11.29 第1刷発行(講談社インターナショナル)

<漱石は近代のシェークスピアである>
「私が漱石の文学を普遍的だと思うのは、彼が
あちこちから受けた影響や引っ張りだしてきた
アイデアを、みごとに融合させて作品に盛り込ん
でいるからだ。英文学のみならず、ウイリアム・
ジェームズの心理学、ヨーロッパ哲学、漢詩、
西洋絵画など、その出所はじつに多様性に富んで
いる。

どうやら漱石は、花の種類から当時の色彩理論に
いたるまで、ありとあらゆることに興味を抱いて
いたようだ。社会科学や心理学をふくめ、じつに
幅広い分野にわたる書籍を愛読していた。
・・・
漱石は近代社会に生きることの意味を真剣に追求
した。彼が描く主人公たちは、シェイクスピアが
描く貴族でも王族でもなく、あなたや私と同じ、
産業社会で四苦八苦するどこにでもいる人間だ。
だからこそ、より普遍的でもある。

漱石とシェイクスピアの重要な違いは、シェイク
スピアがじつに多様な手法で外の世界を描こうと
していたのに対し、漱石はその外の世界を私たち
の意識の流れとのかかわりの中で描くことが多か
った点だ。
・・・
「夢十夜」「永日小品」「三四郎」などで、人間
の意識の働きかたについて考察している。私たち
の普段の意識は、夢にどう影響されているのか?
夢と記憶の関連は?
・・・
「三四郎」は、漱石の自由な連想を綴り合わせた
大きなタペストリーともいえる作品だ。彼は、私
たちが実際に世の中をどういうふうに認識し、
日々の生活をどうやって過ごしているのかについて、
洞察してみせたのである。」

panse280
posted at 19:55

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