2011年06月16日

こころ

「世界文学のスーパースター夏目漱石」(11)

ダミアン・フラナガン 1969-
damian flanagan

2007.11.29 第1刷発行(講談社インターナショナル)

<「こころ」>
1912.9.13 乃木大将が殉死。
「こころ」1914年4月20日〜8月11日(朝日新聞)

「先生」の死には、「乃木大将の殉死」の影が
ある。つまり「明治精神」に殉じたのだと。
「こころ」は読者の年代によって受け取り方は
さまざまだ。
「こころ」は今でも、漱石作品の中で一番の人気
であり、1996年時点で、その学術論文は450にのぼ
っている。東アジアでも、この作品に関する分析
は想像を絶するレベルで増加しているようだ。

「Kの死にたいする罪悪感から死を選び、乃木将軍
の「殉死」に心酔し、明治時代に殉じた、といくら
先生が口にしようが、それはすべて上っ面のもので
しかない。・・・私は「こころ」の真の物語は、
もっとべつのところにあると信じている。」

「「こころ」の冒頭シーンで、”私”が先生をはじ
めて目にしたのは、先生が鎌倉で「猿股一つの」
西洋人と一緒に泳いでいる・・・”私”は、この
西洋人がいなければ先生に気づかなかっただろう、
そういえば先生のことは前にもどこかで見たような
気がする、と回想している。そのあと、この謎の
西洋人は物語に二度と登場しない。考えすぎだと
いわれればそれまでだが、私はひょっとすると
ここで漱石が、シェイクスピアをさりげなく登場
させたのではないかという気がしてならないのだ。
先生のキャラクターは「ベニスの商人」のアント
ニオからヒントを得た、と暗に認めているのでは
ないだろうか。・・・
「こころ」は愛をめぐる戦場であり、先生はアント
ニオと同じく、ほかの男の胸に永遠に宿るため、
死ぬ覚悟、すなわち心臓を差し出す覚悟を決めている
男なのである。」


panse280
posted at 01:03

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