2011年05月28日

私は顔がデカい

「太宰治 人生ノート」(5)

太宰治 1909-1948
osamu dazaai

2009.2.20 初版1刷発行(光文社)

<私は顔がデカい>
「私の顔は、このごろまた、ひとまわり大きく
なったようである。・・・美男子というものは、
顔が小さくきちんとまとまっているものである。
・・・顔の大きい人はすべてを素直にあきらめて、
「立派」あるいは「荘厳」あるいは「盛観」という
事を心がけるより他に仕様がないようである。
・・・顔が大きくなると、・・・人に傲慢と誤解
される。(新宿の店で呼びもしないのに女が傍へ
寄ってきて)「あんたは、屋根裏の哲人みたいだね。
ばかに偉そうにしているが、女には、もてませんね。
きざに、芸術家気取りをしたってだめだよ。夢を
捨てる事だね。・・・こんなところへ来るにはね、
まづ歯医者にひとつき通ってから、おいでなさいだ。」
とひどい事を言った。私の歯は、ぼろぼろに欠けて
いるのである。私は返事に窮して、お勘定をたのんだ。
さすがに、それから五、六日、外出したくなかった。
静かに家で読書した。」

panse280
posted at 19:02

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