2011年05月26日

晩年

「太宰治 人生ノート」(3)

太宰治 1909-1948
osamu dazaai

2009.2.20 初版1刷発行(光文社)

<源氏物語>
「源氏物語自体が、質的にすぐれているとは
思われない。源氏物語と私たちとの間に介在
する幾百年の風雨を思い、・・・ありがたく
なってくるのであろう。いまどき源氏物語を
書いたところで、誰もほめない。」
(「文芸懇話会」昭和11年5月)

<「晩年」1936年>・・1937年自殺未遂
「私はこの短編集一冊のために、十箇年を棒に
振った。まる十箇年、市民と同じさはやかな
朝めしを食はなかった。私は、この本一冊のため
に、身の置きどころを失ひ、たえず自尊心を傷け
られて世のなかの寒風に吹きまくられ、さうして、
うろうろ歩きまはつていた。数万円の金銭を浪費
した。長兄の苦労のほどに頭さがる。舌を焼き、
胸を焦がし、わが身を、たうてい恢復できぬまで
にわざと損じた。百篇にあまる小説を、破り捨てた。
原稿用紙五万枚。さうして残ったのは、辛うじて、
これだけである。これだけ。原稿用紙、六百枚に
ちかいのであるが、稿料、全部で六十数円である。
・・・
私はこの本一冊を創るためにのみ生れた。けふより
のちの私は全くの死骸である。」
(「文芸雑誌」昭和11年1月)

「「晩年」は、私の最初の小説集なのです。もう、
これが、私の唯一の遺著になるだろうと思いました
から、題も、「晩年」として置いたのです。・・・
 私の小説を、読んだところで、あなたの生活が、
ちっとも楽になりません。ちっとも偉くなりません。
なんにもなりません。だから、私は、あまり、おす
すめできません。・・・」
(「文筆」昭和13年2月)

panse280
posted at 21:58

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