2011年05月17日

新仮名遣案を徹底的に排撃

「評伝森鴎外」(5)

山室静 1906-2000
shizuka yamamuro

1999.4.10 第1刷発行(講談社)

<新仮名遣案を徹底的に排撃>
小倉から東京に戻ってからの鴎外はヨーロッパ
作家の翻訳や長詩「長宗我部信親」や戯曲
「日蓮聖人辻説法」等々を書き、46歳の明治41年
には、文部省の臨時仮名遣調査委員会委員になり、
文部省提出の新仮名遣案を徹底的に排撃した。

「この仮名遣いの問題は鴎外の論旨とは逆の
方向に展開して筆者(山室)などもこの文章を
いわゆる新カナで書いているわけだが、鴎外の
所説が依然としてしかも非常に根本的な点で
正しさをもつことを信ぜざるをえない。仮名づか
いの問題は、今後も当然むし返されるだろうが、
その際には鴎外のこの所論が、永久に一方の
基準を示すものとして参照されるだろう。」

<豊熟の時代の外的要因>
明治42年(鴎外47歳)から鴎外の文学活動は
盛んになる。その外的要因としては、
1 夏目漱石の作品群からの刺激
2 自然主義文学への反感
3 「スバル」という発表機関の登場
4 雑誌「歌舞伎」からのヨーロッパ戯曲の注文
5 陸軍の地位の安定

panse280
posted at 19:32

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