2011年05月14日

鴎外の恋愛・結婚

「評伝森鴎外」(2)

山室静 1906-2000
shizuka yamamuro

1999.4.10 第1刷発行(講談社)

<恋愛・結婚>
鴎外は、出世のために心情の欲求をすてる。
所詮鴎外は、恋にあこがれをもちながらも、
それに溺れきれぬ人であった。

「一つは、愛の底にひそむ性の力の盲目性に
ついての嫌悪ないし恐れが次第に強くなった
こと、もう一つはそれと関連して、情感に溺
れる生き方の美しさよりも、理性と意志による
それの統御が、いよいよはっきりと、より好ま
しいものとしてえらばれてきたことである。」

「「魔睡」や「牛鍋」は獣性の醜いエゴイズム
を描き、「心中」は盲目的な愛ないし本能へ
の執着が破滅に終わることを描いている。
そして、「雁」に続く「魚玄機」は「心中」の
線を、それが罪に陥るまで辿ったものであり、
それを行き止まりにして、「安井夫人」等の
新しい世界に移って行く。そしてこれらの
最晩期の作品で描かれる女性ないし愛の姿は、
むしろ女性的情感的なものの否定の上に成立
っているのである。」

鴎外の立身出世欲や保身は、個人よりも家を
重んじる、家庭環境にあった。

日本まで追いかけてきたエリスを追い返した
翌年、明治22年秋、鴎外27歳、母峰子の一存
で海軍中将赤松則良の長女登志子と結婚、鴎外
は赤松家に養子に入いり、妻の家で生活した。
鬱屈した生活であったが、長男於莵が生まれて
1ヶ月も経たないで離婚する。1年ばかりの結婚
生活であった。


panse280
posted at 19:20

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