2011年03月22日

悪魔の芸術

「小説読本」(3)
三島由紀夫 1925-1970
yukio mishima

2010.10.25 初版(中央公論新社)

<悪魔の芸術>
「私(三島)が永年この(文学賞)種の審査に
携って来て、只一度、生原稿で読んで慄然たる
思いのしたのは、深沢七郎氏の「楢山節考」に
接した時のことである。・・・あの凄絶なクラ
イマックスまで、息もつがせず読み終わると、
文句なしに傑作を発見したという感動にうたれ
たのである。しかし、それは不快な傑作であった。
・・・
私(三島)はその後、もう一度このような体験
をしたことがあるが、それはアーサー・クラーク
のSF「幼年期の終り」を読んだときであった。
クラークのこの作品は、私の読んだおよそ百篇
に余るSFのうち、随一の傑作と呼んで憚らない
ものであるが、「幼年期の終り」は徹頭徹尾
知的な作物である点で、「楢山節考」とは正に
対蹠的でありながら、その読後感のいいしれぬ
不快感は共通しているのである。」

「或る種の不快な(すばらしい才能ある!)
作家たちは、ひたすらこのような不快な作業に
熱中して日を送っているのだ。それを考えると
われわれは慄然とする。・・・
この世には、ただ人を底なしの不快の沼へ
落し込む文学作品もあるのである。いわばこれ
を「悪魔の芸術」と呼ぶことができよう。」

panse280
posted at 19:48

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