2011年02月21日

宇宙研方式とは何か

「はやぶさ」(9)
吉田武 1956-
takeshi yoshida

2010.6.25 第2刷(幻冬舎新書)

<宇宙研方式とは何か>
--糸川英夫物語----
「宇宙研」は目的達成のために、小異を捨て
大同に付く、という精神で結集した。宇宙研
では、第一線の理学者、工学者が同じフロアに
部屋を持ち、同じ食堂で食事をする。
NASAのように、書類、書類で紙に埋もれて
悪戦苦闘する必要はない。工学者、理学者、
企業の研究者、技術者・・・理念の提案から
実際の打ち上げまで、全てが一カ所で議論され、
まとめあげられていく場所は、世界に唯一
相模原の宇宙研だけである。
宇宙研では、ノーベル賞を狙おうか、という
理学の大先生が、ロケットの打ち上げに関して
は、工学の修士に頭を下げて教えを貰う、と
いう光景が日常的なものとなっている。聞かれ
た学生も、必死に勉強をして説明するのである。
こうした「学問の前での平等」は実際には
なかなかお目にかかれない。
こうして、NASAやESA(欧州宇宙機関)の科学者
達も羨むような研究・開発体制が確立された
のである。
朝永振一郎の友人でもある、フリーマン・
ダイソンはこれを、
「small but quick is beautiful」と表現した。

「ネイチャー」編集長を23年務めたjohn maddoxは、
「宇宙研は世界で最もすぐれた研究所である。
・・・技術が科学と同等のレベルで尊重されている。
・・・」と書いた。

1977年1月31日、内之浦を訪れたNASA宇宙科学局長
wesley huntress は、宇宙研を高く評価した後に、
その建物を見て「マリリン・モンローがボロ着を
着ているみたいだ。」と言った。

panse280
posted at 20:35

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