2011年01月24日

大嘗祭の秘儀とは

「天皇の起源」(13)
林房雄1903-1975
fusao hayashi

1988.12.05 初版発行(株式会社天山出版)

<日本の仏教と神道>
日本の仏教の根底には神道がある。
「神宮寺」という名は象徴的である。
明治維新後の「排仏毀釈」はわずか数年しか
つづかず、その後の神仏の関係は平和その
ものである。
「純化された、または古代のままの神道の
祭祀と秘儀は宮中に保存され、特に大嘗祭と
新嘗祭は天皇に霊格を付与する秘儀中の秘儀
として、三島由紀夫にも注目され、信仰され
た。」

<三島由紀夫の天皇観の基礎>
「彼(三島)が折口博士の影響をどの程度
受けていたかは不明であるが、古代から現在に
至るまで絶ゆることのなかった大嘗祭と新嘗祭
の「秘儀」を知り、これを天皇観の基礎に
おいていたことだけはまちがいない。」

<大嘗祭の秘儀とは>
「記紀に天子様の御身体のことをば、
”すめみまのみこと”と申し上げている。
・・・
日本書紀の敏達天皇の条に、天皇霊という
言葉が見えているが、この天皇霊とは天子様
としての威力の根元の威霊、すなわち外来魂
そのものであって、マナ(外来魂)が
”すめみまのみこと”である所の御身に
這入って、天子様は偉いお方となられるので
ある。この天子になられるのに必要な外来魂
なる天皇霊は”いつ”と称する魂である。」
(折口信夫全集第二十巻「剣と玉と」)

「大嘗祭にこの”いつ”が天子の御身体に
憑依(ひょうい)するのである。」

注)外来魂:古代人は魂は内在するものでは
なく外から人間の体内に入ってくると考えら
れていた。

panse280
posted at 19:19

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