2010年04月06日

古道

「本居宣長(上)」(38)
小林秀雄
hideo kobayashi
1902-1983
平成4.5.25.発行(新潮社)

<古道>
宣長は「直毘霊(ナホビノミタマ)」において
古道を説いた。

「宣長の説く古道の説というものは、特に道を立て
て、道を説くということが全くなかったところに、
我が国の古道があったという逆説の上に成り立って
いた。そこで、「皇大御国(スメラオホミクニ)」
を黙して信ずる者の、儒学への烈しい対抗意識だけ
が、明らさまに語られる事となった。当然、人々の
論難は、宣長の独断と見えるところに向かって集中
した。この彼の古道説の受取られ方に、「やまと心」
という言葉が、一役買っていた。」

「直毘霊」を世に問うて間もなく還暦を迎えた宣長
が自画自賛の肖像に書いた賛が有名な以下の歌である。

「しき嶋の やまとごゝろを 人とはゞ 朝日に
にゝほふ 山ざくら花」

この歌に上田秋成がかみついた。こんな歌を「おのれ
が像の上に、書きしとぞ。・・・尊大のおや玉也。」

panse280
posted at 19:57

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