2010年03月18日

繊細化は衰弱への道

「本居宣長(上)」(20)
小林秀雄
hideo kobayashi
1902-1983
平成4.5.25.発行(新潮社)

<ものゝあはれ>(2)
--衰弱からの復権として--

「彼(宣長)は、「古今集」真名序の言う「幽玄」
などという言葉には眼もくれず、仮名序の言う「心」
を、「物のあはれを知る心」と断ずれば足りるとした。
この歌学の基本観念が、俊成の「幽玄」定家の「有心」
という風に、歌の風体論の枠内で、いよいよ繊細に
分化し、歌人の特権意識のうちに、急速に、衰弱する
歴史が見えていたが為である。」

「それも、元はと言えば、自分は楫とり(「土佐日記」)
に問われているので、歌人から問われているのではない
という確信に基く。「あはれ」という平語に向って放つ
という道を、宣長は行ったといえる。」

panse280
posted at 21:28

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