2010年03月17日

ものゝあはれ

「本居宣長(上)」(19)
小林秀雄
hideo kobayashi
1902-1983
平成4.5.25.発行(新潮社)

<ものゝあはれ>(1)
「通説では、「ものゝあはれ」の用例は、「土佐日記」
まで遡(さかのぼ)る。
「楫(かじ)とり、ものゝあはれも知らで、おのれし
酒をくらひつれば」とある・・・」

「「恋いせずば 人は心も なからまし 物のあはれも
これよりぞ知る」という俊成の有名な歌につき、ある人
が宣長に、この「あはれ」と言うのは、いかなる義かと
たずねた。
質問者は、「物のあはれを知るが、即ち人の心のある也、
物のあはれを知らぬが、即ち人の心のなきなれば、人の
情のあるなしは、ただ物のあはれを知ると知らぬにては
べれば、このあはれは、つねにただ、あはれとばかり
心得るままにては、せんなくや・・」と言った。
宣長いはく、「予、心には解(さと)りたるやうに覚ゆ
れど、ふと答ふべき言なし、やや思ひめぐらせば、いよ
いよあはれと云う言には、意味ふかきやうに思はれ、
一言二言にて、たやすく対へらるべくもなければ、重ねて
申すべしと答えぬ、・・・」

「おおかた、歌道は、あはれの一言より外に、余義なし」

panse280
posted at 21:24

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