2010年02月01日

芥川龍之介は小説家には向いていなかった

「芥川龍之介」(4)
小島政二郎
masajiro kojima
1894-1994
2008.8.10.1刷(講談社文芸文庫)

<芥川は小説家には向いていなかった>
芥川が死んだ。告別式のあと、上野の洋食屋に
谷崎潤一郎、里見弴、久保田万太郎、水上滝太郎、
佐々木、小島が集まった。話題は芥川龍之介。

誰もが、芥川を小説家として認めていなかった。

「あの人は聡明だし、学殖はあるし、正しい批評眼も
持っているし、エッセイストとして持っていなければ
ならないものは全部持っている。が、一番大事な資質
を持っていない」(谷崎)

「では、芥川は何になったらいいのか。
プロフェッサー(大学教授)が一番向いていたろう
という結論だった。」

「プロフェッサーもどうかな。見ると聞くとは大違い
で、大学なんてところは、相当不愉快な暗闘があるら
しいじゃないか。漱石なんか、博士号を断ったり、
「朝日」へ飛び出したり、よくよく堪忍の緒を切った
んじゃないのか。芥川君の聡明と神経質とじゃ、結局
漱石の二の舞になるんじゃないのかな」(谷崎)


panse280
posted at 20:22

トラックバックURL

コメントする

名前
 
  絵文字