2010年01月02日

天皇

林房雄1903-1975
fusao hayashi
三島由紀夫、1925-1970
yukio mishima

「対話・日本人論」(14)
昭和41(1966)年10月20日初版(番町書房)

<天皇>
--三島由紀夫が最も嘆いた「人間天皇」とは--
(林)
「あなたの「英霊の声」によれば、戦後の空洞化
と頽廃は、天皇の人間化によって生じている、そう
とれる面がある。」
(三島)
「そうですよ。」
(林)
「ではなぜ戦前に腐敗が起こったか。二・二六の
青年将校を決起させるようなあの腐敗が起こったか。
神格天皇のもとでも腐敗は起こったではないか。
これはどういうことになりますか?」
(三島)
「つまり腐敗の性質が違うのではないですか。
一般的な腐敗と、それから局部的な腐敗との分けて
考えることはできませんか。」
・・・
(林)
「私は腐敗は天皇制とは関係ないと思うのです。
戦争中の天皇制も天皇制なんだ。戦後の人間天皇制
も、私に言わせれば同じ天皇制なんだ。もし決起の
必要が起こった時には、志士も青年将校も天皇の名に
おいて決起すると思う。人間天皇の名において。」
(三島)
「ただ人間天皇の名において決起できるかどうかと
いうことですね。」
(林)
「できないということになっています。しかし、私
はできると思うのです。」
(三島)
「できたらおもしろい。」


panse280
posted at 19:13

トラックバックURL

コメントする

名前
 
  絵文字