2009年11月25日

南方熊楠と乃木大将

林房雄1903-1975
fusao hayashi

「緑の日本列島」(18)
昭和41(1966)年8月5日第一刷(文藝春秋)

<南方熊楠と乃木大将>
乃木大将殉死批判で京都帝大の職を追われた
谷本富教授は言う。

「乃木さんはあまり虫のすかない人である。露骨に
言えば、甚だ嫌いな人である。
・・・
世間は至誠のみでは渡れぬ。至誠のほかに卓越した
才学技術が必要である。乃木大将は余の所見を以て
すれば、はばかりながら才学技術のすぐれた人とは
言えない。
・・・
大将はいわゆる孤相である、平たく言えば下賤の相
に近いもので、とうてい大将という如き高職に上る
べき富貴も天分もない。」

南方熊楠博士は「日本及日本人」に「自殺につき」
という博学な長論文を発表し、その中で、
「予の知人は、みな谷本の名をきくのもいやな
気持すと語る。・・・死せる乃木大将をけなして
生きたる東郷大将を揚ぐるなど、吾輩庸人にはでき
ぬ芸当なり」と谷本教授をこきおろした。


panse280
posted at 20:22

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