2009年10月30日

”逆臣学者”の再評価、津田左右吉

林房雄1903-1975
fusao hayashi

「日本への警告」(21)
昭和44(1969)年2月10日初版(日本教文社)

<”逆臣学者”の再評価、津田左右吉>
美濃部博士同様、津田博士もその「古事記の原典批判」
によって”逆賊”扱いされた。

「敗戦後、岩波書店の左翼雑誌「世界」が創刊され、
その四月号に津田博士の「建国の事情と万世一系の
思想」という論文がのった。編集者は博士が、「天皇
否定論」を書いてくれることと思っていたようだ。
ところが、そうではなかった。博士の論文は日本国家
成立の事情と皇室の特殊性を述べ、天皇廃止を主張する
どころか、

「皇室を愛することができないような国民は、少なく
ともその点において、民主主義を実現する能力に欠けた
ところのあることを示すものである。そうしてまたかく
のごとく皇室を愛することは、おのずから世界に通ずる
人道的精神の大なる発露である。」

と結論したので、当時の論壇は大騒ぎになった。
・・・
ここでも、私はまた”逆臣学者”津田左右吉を見直さざ
るを得なかった、と言えば偉そうだが、つまり、津田著作
を読んでいなかったこと、しかも人づてに聞いた津田学説
を時勢の狂気に押されて政治的軍事的見地でかたづけて
しまった自分を恥じたのである。」


panse280
posted at 21:20

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