2009年10月26日

武士は食わねど高楊枝

林房雄1903-1975
fusao hayashi

「日本への警告」(17)
昭和44(1969)年2月10日初版(日本教文社)

<西郷隆盛と武士の精神(4)>
--新時代を拓いた武士精神--

「維新後のヨーロッパ文明の取り入れも武士出身
の者が率先して実行したし、実業家と言われる
者も武士出身者が大部分だ。これはフランスの
第三階級、ブルジョア階級の発生と非常に違って
いる。・・・(三菱の岩崎は土佐の武士、渋沢
栄一は一橋家の家臣・・・)
日本では、実業家でも金ばかりに執着して金儲け
をした者は尊敬を受けないという伝統がある。
五島慶太や大倉喜八郎を尊敬する日本人はいない。
いても少ない。」

「日本の実業家にはいまだに武士の精神がある。
これが日本の資本主義を特色のあるものにして
いる、とライシャワー教授が書いている。」

補記:「武士は食わねど高楊枝」
武士は、たとえ貧しさで物が食えなくても、満腹
を装って楊枝を使うものだということ。
武士は生活に窮(きゅう)しても不義を行わない。

日本の高度成長を支えた一つは、経営者の安すぎる
報酬であった。それは、”武士の精神”ともいえる。
それこそが日本の力かもしれない。

panse280
posted at 20:45

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